とんとん拍子に退職の日に。
心から、ありがとう。
-2020年 4月下旬-
会社のはからいで
あっという間に退職の日を迎えた。
パパちゃんの病状が告げられてからは
引き継ぎが大変にならないよう、調整はしていたので
あまりトラブルもなく順調だった。
社長へも最後のご挨拶に行った。
あまりに突然だったので怒ってるかな、と思いきや
とても心配そうにねぎらってくれた。
なんだかとても申し訳なかった。
上層部や一部の方たちは知っていて
個別にご挨拶に来てくれたり
プレゼントを用意していてくれたり
その気持ちが嬉しかった。
終業時間になり
チームのメンバー1人1人へメッセージを送った。
みんな素晴らしい仲間で
恵まれていたと思う。
パソコンの電源を落とし席を立つと
チームのメンバーが卒業式でするような
トンネル?花道?を作ってくれていて
ビックリするやらおかしいやら(笑)
その向こうに花束を持って待ってる子がいた。
もう、本当に泣きそうだった。
でも最後は笑って去りたかったので
笑顔でお礼を言いながら
会社を後にした。
後悔のないよう、過ごそうと
心に決めた。
一路パパちゃんの待つ病院へ。
ちょうど長女と合流し
薬剤師さんから今後のお薬の説明を受けている間に
次女も来てくれた。
今回は病室まで上がれないとのことで
看護師さんたちが、お荷物をまとめてくださっていた。
薬はステロイドが追加になっていた。
それと痛み止め。
途中看護師さんから
「急に物忘れがはげしくなったりしていませんか?」
と聞かれた。
私もそれは気になっていた。
以前から物忘れはよくあったが
入院してから、急にひどくなった。
たった今、言ったことを覚えていない。
また物の言い方がきつくなった。
癌が脳へ転移したのかもという不安がよぎる。
でもどうも違う気もする。
前回入院した時に、
病院からの注意事項として説明された
「せん妄」というのがひっかかっていた。
入院や手術の影響で、外部との情報が遮断された人なども
起こりやすいらしい。
今回家に帰ってゆっくりすることで
症状が落ち着いてくれることを願った。
しばらくすると車いすに乗って看護師さんと降りてきた。
私たち3姉妹がいるので驚いているよう様子。
でも嬉しそうだ。
看護師さんたちにお礼を言い
家へと帰った。
久々に自分の部屋に帰れてホッとしているようだ。
その日はお風呂にゆっくりつかり
早めに休むことにした。
すると
「夜は近くにおってくれんか」という。
パパちゃんの和室はリビング横にあり
私は通常2階の寝室で休む。
これまでも心臓の調子が良くない時や
体調が悪いときは、
たびたびリビングで眠ることはあった。
すぐ隣にいると、小さな声でもわかるからだ。
これまでは私のほうが心配で
勝手にリビングで寝ていたのだが
パパちゃんの方から言ってくることは
まずなかった。
不安なのだろう。
もう、寝不足でも仕事に行く心配がないのは
助かった。
側にいるから、心配しなくていいよ。