癌と共に~フーテンのパパちゃん~

大好きな父が癌になりました。クジラを見に行く日を夢見て。

胃がん~夏の終わりの花火大会~

夏の夜空満開の花火

 

車窓から見たあの景色を

きっとずっと

忘れない

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-2019年 8月31日-

 

パパちゃんが行きたがっていた花火大会

 

リサーチはしていた。

広範囲にわたる湖のほとりで開催されるので

もちろん一帯は交通規制がかかる。

 

小さい時は、たまたま家の近くだったので

歩いていける距離だった。

なので車で行ったことがない。

 

シャトルバスもあったが、

それでも降車場所から会場までは

かなり歩かなくてはいけない。

行きは予約制だが、帰りは順番待ち。

パパちゃんの体力的に厳しかった。

 

それでも少し離れたところからでも

打ち上げは十分見れるはず。

 

車を止めれそうな箇所をいくつかピックアップした。

 

朝からお天気が少し怪しげで

それでも楽しみな気持ちはみんな一緒

 

テレビと天気予報とニュースと一日中にらめっこ

 

開催する方も

気が気じゃないだろう。

 

昼過ぎごろ「花火大会決行」の発表が。

 

よっしゃ、行こう。

 

パパちゃんを乗せ、早めに会場近くまで行った。

 

でもねー考えることはみんな同じで。

 

お目当てのとことはすでに満車。

普段はガラッガラの穴場まで。

 

おまけにかなり広範囲にわたって交通規制が。

 

ヤバいよやばいよ。

 

焦る私の横で、のんびりパパちゃんは

「いいよ、いいよ、ムリしなくて」

 

でもこうなったら、何が何でも見せてやりたい。

 

グルグルぐるぐる周囲をどれくらい廻っただろうか。

 

ダメだ。建物がじゃまで見えない。

 

思い切って離れた別路線を探索することにした。

 

一時休憩もかねてパパちゃんと夕食をとった。

以前何度か行った醤油ラーメンの店に行ったのだが

 

店が変わっていたΣ(゚д゚lll)ガーン

 

フツ-のラーメン屋だが

大好きな醤油ラーメンが美味しいお店だったのに

なぜかおしゃれなカフェ風?ラーメン屋になっていた。

 

・・・それでもメニューは変わってないかも・・・

 

そんな訳はなく

全く変わっていた。

 

とりあえずラーメンを頼み、

なるだけゆっくり、ゆっくり食べてもらった。

 

まあ、こんなこともあるさ・・・

 

お腹いっぱいになったところで

再度探索開始。

 

交通規制も切れていたので

ちょっと裏道に入ってみると

これが正解。

 

農道が続き、見晴らしも結構よいではないか。

 

後は花火が上がってみないとなんとも(;^ω^)

 

 

「いいよ、いいよ、ここで」

パパちゃんと路肩に車を停めて、ラジオをかけてスタンバイ。

 

しばらくすると市長の挨拶が流れてきた。

 

窓を開けると、マイクでかすかだが聞こえてくる。

 

 

小さい頃、家族みんなで小さい頃行った話をした。

お弁当とゴザをもって、土手から見たっけ。

あの花火の下腹に響くような音が楽しくて。

 

途中雨が降り出して、

慌ててゴザをかぶったよね、と笑いながら話した。

 

いつかは心臓で入院中だったパパちゃん。

病院は花火会場の真横だったので

皆で病院から見たこともあったね。

 

そんなこんなが昔のような

つい最近のような。

 

そうこうしてる間に

花火大会が始まった。

 

なんと

フロント真正面で花火が上がった!!!

 

パパちゃんと

「やったぁー」と歓声をあげた。

 

音楽が流れていて、それは実況中継のラジオから聞こえてくる。

 

窓からは花火の音。

 

「こりゃあいい。特等席だ」

お茶を飲みながらパパちゃんもゴキゲンそう。

 

気づけば、周りにもたくさん車が停まっていたが

農道の片側に、みな整然と一定間隔で停めてあった。

 

みんなえらいな。

 

これなら出る時もスムーズそうだ。

 

途中休憩の時間があったり、

仕掛け花火はさすがに見えなかったが

十分だった。

 

途中から小雨が降り出し、しかもこの日は結構寒かった。

 

車で正解だったと思う。

 

雨の勢いが強くなり出し、

最後は花火がじゃんじゃん打ちあがり始めた。

 

壮観だった。

 

終わる少し前に車が流れ出し、

なんとなく動かしたら、流れに乗ってその場を

離れることに。

 

あわわ、と思ったが時すでに遅し。

 

パパちゃんに、「最後まで見れんでごめんね」と言うと

「いいよいいよ。ゆっくり見れたし。

来年は少し歩けるようになって、近場で見らなんね」

と言いながら笑顔でその場を後にした。

 

 

今年の花火大会はコロナの影響で

全国あちらこちらで中止になったと聞く。

 

その経済損失だけでも、2450億円超と聞いて驚いた。

 

夏の風物詩が見れない淋しさはもとより

この一瞬のために、心血注いでこられた花火師さんは

どれだけ悔しく、また悲しいだろう。

人々の気持ちを明るくしてくれる花火は

元は疫病退散の祈願から始まったらしい。

その花火がコロナのせいで見れないというのは

なんともやるせなく、せつない。

 

 

また、あの美しい花火を

夜空の大輪の華を

見たい。

 

パパちゃんの方からも、見えるかな。