癌と共に~フーテンのパパちゃん~

大好きな父が癌になりました。クジラを見に行く日を夢見て🌈

胃がんからの在宅看護~感謝~

ありのまま

なすがまま

 

風のように生きる

自由な人

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-2020年 ゴールデンウイーク最終-

夜、隣で横になりながら、いろんな話をする。

 

ゴールデンウイークに

お姉ちゃんたちが来てくれたこと

 

従兄家族が来てくれたこと

 

なんだかんだで嬉しかったのだろう

 

「早く元気になって、釣りに行かないとな」

そう言いながら、笑うパパちゃんは

いつもと変わらなかった。

 

ごろ寝マットで横に寝ていたけれど少し肌寒くて

足だけパパちゃんの布団にお邪魔して

ぴとっとつけていた。

 

あったかーい

 

パパちゃんは体温がとっても高い。

冬場でもずっと下着にステテコ姿で不思議だった。

 

小さい時はパパちゃんの布団でくっつくのが大好きで

温かいパパちゃんといると

心までぬくぬくしてくるようだった。

 

ふいにボソッと

「なんでみんながこんなに良くしてくれるのかわからん。

俺はなんにもしてないのに」

 

パパちゃんの口癖だった。

 

いつも、本気で

不思議そうに言っていた。

 

人に見返りを一切求めない

裏表のない

パパちゃんらしい言葉だ

 

 

きっと人は無意識に他人に対して、

どこかで何かの期待や見返りを求めているのだと思う。

「こうしてくれるだろう」

「こうしてほしい」

「これだけしてやってるのに」

そういった願望的なものが満たされないと

人は不満を募らせ、ひどくなると怒りを覚える。

 

だがそういったものが一切ないパパちゃんは

ある意味変わった人だったとも思う。

 

でも

真っすぐで

人に対して態度を変えることも

上下に見ることもなく

常に同じ目線であり続ける人だったから

 

ありのままを受け入れてくれるパパちゃんは

色んな人から愛される人でもあった。

 

「みんな、パパが大好きなんだよ」

そういうとキョトンとした顔で

「そうか?」と不思議そうに笑っていた。

 

 「釣り、行かなんね」「暑くなる前がいいな」

「お誕生日のお祝いもするからね」「もうなんもよかよ」

「沖縄も、行くんだよ」「忙しいなw」

 

いっぱい、行こう

いろんな所、楽しい事

みんなでワイワイと

見た事ないものを、見に行こう

 

もう少し、体が楽になったら

もう少し、体力が戻ったら

もう少し、コロナがおさまったら

 

たくさんの「もう少し」の先へ

 

せめて

来月のパパちゃんの80歳のお祝いまでは

 

行けると思っていた。