癌と共に~フーテンのパパちゃん~

大好きな父が癌になりました。クジラを見に行く日を夢見て🌈

胃がんからの在宅医療~あと、1週間~

ついこの間告げられた「余命3か月」

 

まだ、まだ1か月しか経ってないよ

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-午後4時-

色んな書類に目を通し、説明を受けながらサインをした。

 

そして先生から小さな声で告げられたのは

 

『状態としてはかなり厳しいです。

左の肺はもう機能していません。

癌の転移もですが、心機能もかなり低下しています。

おそらく、もってもあと一週間と思ってください』

 

へ?

一週間?

はい?

 

思わずマヌケな声が出てしまった。

 

「いや、でも昨日もご飯たべて、お風呂も入って

フツーに話してますよ?」

 

『この状態で、痛みがほとんど無い事が奇跡です』

 

呆然とする私に先生は

『今、痛み止めと鎮静剤で落ち着いています。

今後は眠っている状態が多くなるでしょう。』

 

あまりにすっ飛ばした展開に、頭がついていかない。

 

でもこれが現実なのだ。

 

隣室のパパちゃんに目をやり

そしてまた先生に視線を戻した。

 

覚悟を決めなくては

 

最後についてもう一度確認をする。 

痛みや体のきつさは極力取り除いてもらう。

輸液、点滴は行わない。

このまま徐々に逝くのを静かに見守る。

 

すると看護師さんから

「どなたか一緒に支えてくださる方、共有できる方はいますか」

私を思いやっての、言葉だった。

在宅医療は、病院と違い家族の精神的負担が大きくなる。

 

「大丈夫です、姉が二人いますから」

そう答えると、「それは良かった」と看護師さんもほっとされていた。

 

姉たちがいたから”看取る”選択ができた。

 

そしてパパちゃんが

私が一人ぼっちにならないよう

姉妹という家族を残してくれている。

 

また、ちゃんと家族のことも考えてくださる

医療スタッフにも感動した。

 

一つ一つに丁寧に答えてくださる。

優しくやわらかな雰囲気に救われる。

 

夜中でもいつでも電話してきてください、と

何度も言われ「また明日来ますね」と

帰って行かれた。 

 

-午後5時-

そんなこんな中

早めに仕事を切り上げた次女が来てくれた。

 

先生からの

あと一週間を伝えても

そんな訳ないじゃん!と

半ば怒ったように言う姉に、私も同感だった。

 

その後次女が支えてパパちゃんをトイレに連れて行った。

おしっこが出た。

よしよし。

ほらね、大丈夫だよ。

 

次女と見合わせてにっこり笑う。

 

 

この時のトイレが最後となった。

 

けれどパパちゃんは最後まで

おむつを使うことはなかった。

 

買ったけれど1度も汚すこともなく

 

子どもに負担をかけまいとする

パパちゃんの父親として

譲れないプライドだったように思う。