癌と共に~フーテンのパパちゃん~

大好きな父が癌になりました。クジラを見に行く日を夢見て🌈

胃がんからの在宅医療~介護ベッド~

辛く苦しい

長い、長い夜

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-真夜中-

先生につけてもらった点滴のおかげで

楽になった、と言っていたパパちゃん。

 

でもそれは始めだけで

夜が更けるにつれ、効かなくなっていった。

 

「おい、ちょっと薬増やしてもらえんか」

 

看護師さんに言われた手順で

薬の注入の倍速度ボタンを押す。

 

最初は、まだそれでよかった。

 

でもだんだんと

きつさを訴える頻度がハンパじゃなくなってきた。

 

30分に1回、と言われたボタンを何度押しただろう

 

こんなにも連打することが怖くなり

途中で看護師の従妹へ電話を入れた。

大丈夫、押していいから、と言われ

またそれからずっと押し続けた。

 

痛い、というよりは苦しい、の方だった。

 

肺が機能しておらず

心臓も弱くなっている

 

充分に呼吸ができない

 

しまいには

「酸素は」「酸素は・・・」と言って

身体がじっとしていられないほど

のたうちまわった。

 

一晩中

もうひたすら、ボタンを押し

話しかけ、身体をさするしか

できなかった

 

この夜が、一番苦しかったと思う

 

それでも不思議と明け方になると少し落ち着いてきて

陽が昇るころになると

少し眠れるようになった。

 

もう食事はとっていなかったが

かき氷を少し、口に含んだ。

 

コーラも、少し。

 

身だしなみを整えていると、在宅医療の先生から電話があった。

夜中薬がまったく効かず追加しまくったことも話した。

後で来ますからお薬調整しますね、とのこと。

 

そしてパパちゃんに一番近い従兄には

昨日のうちに連絡を入れていた。

 

パパちゃんと一緒に暮らし

息子同然でもある兄ちゃんは

ずっとパパちゃんを助けてくれ

また一番の近親者でもあった。

 

 

-午前10時-

介護ベッドが搬入。

パパちゃんはまた気力を取り戻していて、

なんとか座椅子に座っていた。

横になっていた方が、苦しいのだ。

ベッドが設置される間、リビングの方へ移っていた。

 

そんなこんなのバタバタの中、従兄到着。

とても心強かった。

 

まだ意識もそこそこあったパパちゃんと従兄は会話ができていた。

良かった。

 

介護ベッドは、結構デカイ。

それを一人でテキパキと組み立てていく。

ほえ-とみている間に

これまた在宅医療チーム到着。

 

-午前10時半-

昨日と同じ院長先生と看護師さん。

座椅子に座ったパパちゃんのバイタルを取ったり

携帯型の点滴を確認していた。

 

パパちゃんの部屋では介護ベッドが組み立てられ

リビングではパパちゃんの往診の真っただ中

 

そんなてんやわんやな中

義父母乱入。

 

「あらあらあらあら」

ギョロギョロと部屋の中を見回し

すかさず介護ベッドに目をやり

「なんね!ベッドまで手配したの?」

「・・・先生からあった方が良いとのことだったので」

「ちょっとちょっと!訪問医療まで頼んでから!

なんで言いに来ないの。私達ちっとも知らないじゃない!」

「・・・急変したんです。少し今忙しいので・・・」

 

それじゃなくても

部屋の中、かなりな[密]状態。

 

その中リビングに座り、子どもたちに

「喉乾いた、なんか飲み物出して」と言い出した。

 

いや、帰ってくれよ

 

そして途中先生を捕まえて

「先生~!私の義姉もお世話になったんですよ~」

覚えてますかぁ♬」となれなれしく話しかけていた。

 

ジャマすんな💢

 

介護ベッドの必要書類には、前もってサインしていたので

担当者の方も取り扱い方を説明して、すぐに帰られた。

 

それと入れ替わりくらいだろうか、

早退してきた長女が到着。

-午前11時-

パパちゃんの容体がぐっと悪くなっていることに

長女も驚きを隠せなかった。

 

パパちゃんはずっときつそうで、ぐったりしていた。

 

出来上がったばかりのベッドに

看護師さん達が移してくださった。

 

フワフワのベッド。ウォーターベッドみたいな感触。

4か所が15分間隔で浮き沈みし、床ずれを防げるスグレモノ。

すげぇ( ゚Д゚)

背もたれも起こせるし

ベッド自体も上下昇降できる。

 

「ベッドは落っこちる」と怖がるパパちゃんのために

低床型をお願いしていたので、1番低く設定してもらう。

 

すべてレンタル。

寝台が1台@9,160

体位変換器(マットレス)1台10,180

サイドレールが2本@920

しめて22,640だが、保険で月約2,000円

 

もっと早くに頼めば良かった

(もうこれ何回目だよ)

 

ベッドに横たわると

「おっこりゃいい」とゴキゲンなパパちゃん。

 

お気に召したようだ。

 

ただこのマット

フワフワしすぎて安定しないという面も💦

 

後々気づくのだが

寝たきりで期間が長い人にはかなりいい

自力で動ける人には不向きだった(;´・ω・)

 

寝返りがうてない。

安定しないので、介護に慣れていない人は

やや難しい(体をずらしたりとか)

 

 

布団の方があちこちに手が届き、

安心するという点でお布団にこだわっていたが

 

高さを最低床にできるものならば、

目線も低いので安心でき、またトイレに行くときなどは力が入りやすい。

 

パパちゃんは体力はあった方だと思う。

自力でトイレや移動をしていたが

それでも最後の方は『立ち上がる』ことが

力が入りづらく、とても大変だった。

 

また看護、医療する側からも

ベッドの方がしやすいという利点

 

場所を取るのであらかじめスペースは

余分に確保が必要だと感じる。

 

 

でも新しいベッドに横たわるパパちゃんは

とても楽そうだった。

 

介護ベッドの担当者さんは

恐らく自分の休みを使ってきてくれた。

 

その優しい気持ちのおかげで

パパちゃんはゆっくりと過ごすことができた。

 

不思議なご縁と

人の優しさに心から感謝だ。