夜が明ける
特別な1日が始まる
在宅医療だったので、家で看取ることもできた。
パパちゃんにたくさん触れることもできた。
またエンゼルケアも身支度も、一つ一つみんなで心をこめてすることができた。
支えてくださった在宅医療の先生、看護師さん達には感謝しかない。
時間に追われることなく、家族で最期のひと時をゆっくり過ごすことができるのは
本当にありがたかった。
院長先生は最後に死亡診断書を作成され
「いろいろな場面で必要となりますので、コピーを取っておかれた方がいいでしょう」
と言われた。
先生方が帰られ、みんなも現実に戻る時間。
気付けば次男の新聞配達の時間だった。
合間に急いで事情とお休みの連絡は入れたものの伝わっているか不安で、
一応販売店へ行くことにした。
その間、姉たちも喪服等準備のため家に帰ってくるということで、一旦解散。
遅くまで飲んでいた主人は運転できず(-"-)
私が行くことに。
その間パパちゃんには長男が付き添ってくれていた。
新聞配達の担当者も事情は把握していて、しばらくお休みを頂くことになった。
とにかく、次男の落胆がひどかった。
帰ってからも、ずっとパパちゃんの手を握り
側から離れようとしなかった。
いつも明るく笑わせてくれて、波長も合うのだろう。
二人でニコニコと過ごすことが多かった。
また学校から帰り、「お帰り」と出迎えてくれるのが
何より嬉しかったのだと言っていた。
私が仕事をはじめ、忙しさであまり家に居ることがない間
寂しさを埋めてくれるのは、パパちゃんだった。
改めて、存在の大きさを知った
また一方でするべきことがたくさんあり、固まっている私に長男が
「俺ができることは何でもするから言って」と。
その言葉だけで、楽になれる気がした。
葬儀社に連絡を入れなくてはいけないこと
お客さんが朝から来られるだろうから、準備をしなくてはいけないこと
すると
「分かった。お母さんは自分のことをして。」と
長男が部屋や台所をテキパキと片付け、掃除もしてくれた。
いつの間に、こんなに頼もしくなったのだろう
普段はおっとりとして甘えていることの多い長男だけれど
ずっと私や周りを気にかけ動いてくれ、大人の気配りができるようになっていた。
ありがとうね
じいちゃん、喜んでいるよ
そして一人、主人は携帯をいじり続けていた。