体調は変わらず
「俺はやっぱり癌だもんな」
言葉がつきささる
-2020年 5月上旬-
病院で輸血をしてもらい
体のきつさが取れるだろうと
楽観視していた。
・・・・・・まったくもって変わらない。
そんなに甘くはないのは
分かってはいたつもりだが
現実の壁はかなり高くなっていた。
当のパパちゃんが一番期待していただけに
変わらない状態に落胆していた。
「俺は、やっぱり癌だもんな」
ふいに言われてドキッとした。
抗がん剤はきついので止めれて良かった、
くらいの認識しかないだろう。
どこかの箇所が痛い、というのがないだけ
まだいいのだろうが
常時ずっと体がきついというのも
精神的にかなり参っているようだった。
「このまま終わりたくはないなぁ」
なんとか気力だけでも取り戻さなければ。
いつもパパちゃんんが座るリビングの席に
皆で行った釣りの時の写真を入れた。
皆に囲まれて破顔一笑のパパちゃんが真ん中にいる。
もう1回、釣りに行こう。
海に行こう。
おでかけしよう。
前向きな目標ができるように
考えた苦肉の策だった。