介護保険サービス
も少し分かりやすくならんかな
~逝去 5日後~
ちょっと話が前後してしまうが、介護ベッドについて。
体調が急変したパパちゃん。
在宅医療へ切り替え、来ていただいた先生から『こんなせんべい布団じゃだめ!』とお叱りを受け、最初で最後に利用したサービスが介護ベッドだった。
それまでも何度かパパちゃんは、介護保険の申請を行ったがなかなか通らなかった。
認知症に重きを置いているからなのか、申請の時にやってくる認定調査の時に冗談ばかり言うものだから『お元気そうですからまだまだ大丈夫ですね』と言われてしまう。
『俺はまだまだイケる』的な気持ちがどうしても働いてしまうらしい。
でももともと心臓も悪く、胃も全摘出してるわけだから、お元気ピンピンかと言えばちょっと違う。歩くのは以前からかなりしんどかった。それも胃がんの手術後体重が10キロ以上減り、肺に転移して以降は抗がん剤治療の影響もあり体力の低下は見た目でもわかるほどだった。
介護保険サービスを受けさせたかったのは、なんとか日常生活を自宅で普通に過ごすためにも体力をつけさせることが目的だった。
どうにか【要支援1】になることが出来た。
要支援1の状態区分は最も自立に近い状態。
「現状では介護を要しないが、将来的に介護が必要になる」という状態で、今後のフレイル(加齢による心身の衰え)での機能低下を防ぐために行うもので『介護予防』と呼ばれる。
介護保険の適用対象である介護予防サービスまたは介護予防、生活支援を受けることが可能
まだまだ元気で自立した人が受けるサービスではあるので、週に1回など制限は多い。だけれど心臓が悪いこともあり正直一人で出歩くのは万が一を考えて怖かったので、介護保険サービスを使ってトレーニングに通っていたのは正解だったと思う。
だんだかんだパパちゃんは家にずっと一人でいる時間が長い。近所を行き来できる友達もいなかった。
社交的ではないものの、リハビリジムでの半日は気晴らしになっていた。
超高齢化社会の日本。税金にも限界はある。だがいよいよ身体が弱り、動けない、寝たきりになってからでは遅い。元気でいるためにも、また介護保険サービスを知るためにも、要支援の認定の枠が広がりサービスがもっと使われてほしいと思う。
実際、自宅で過ごすのに大げさな、という気持ちでいた。
介護ベッド自体も《要介護2~5》でないと使えない。
パパちゃんの容体が一気に悪くなって《介護保険の区分申請》を行いやっと手配できたものだった。
布団を上げ下げするのにも力がいる。元気なうちはそれも運動になるので良かった。
だがいよいよ体力がなくなった時、起き上がることすら苦しかった。
最期にゆっくり過ごすことが出来た介護ベッド。
パパちゃんが使えたのはほんのわずかな時間だった。
それでも本当に助けられたと感じていた。
また看取りの際、そしてエンゼルケアの際、介護ベッドだったのでスムーズだったのも事実だ。
葬儀から帰って介護ベッドのレンタルの担当者へ連絡を入れた。
こちらの状況も心配されてか、すぐではなくても大丈夫なので、と5日後に引き取りに来ることになった。
『あまりお役に立てず、すみません・・・』と頭を下げられこちらが恐縮してしまった。急にお願いしたものの、予定通りの搬入であれば間に合わなかった。急いで駆け付けてくれたからこそ最期穏やかに逝くことができた、とお礼を伝えるので精いっぱいだった。
それからしばらくして、またレンタル会社から電話があった。
『今回のご請求は辞退させてください。』
たった数日といえどあの大きなベッドには手間も人件費もかかっているだろう。
そんな訳には、と伝えたが『お役に立てたのならば、良かったです。』と重ねて言われるのでご厚意に甘えることにした。
金額の大小ではなく、その心遣いが嬉しかった。
やっぱり、パパちゃんは色んなご縁を作ってくれるスゴい人やね😊