「3か月」
その具体的な数字は
あまりにも短すぎた
-2020年 4月-
父と姉と初めて行った緩和ケアセンター。
コロナの影響で、行く先で検温と消毒は必須。
面会室には担当のドクターと看護師、臨床心理士と呼ばれる方。
終始和やかで、温かい雰囲気に気持ちもほぐれる。
緩和ケアだから、もちろん抗がん剤の治療はない。
あくまで患者さんの痛みや不安、
Quality Of Life (QOL)の向上、
よりよい「生き方」をめざすところ。
一通り説明のあと、ドクターは退出。
看護師さんに「バイタルとりますよ~」と
父が連れ出されたその間に
ドクターがそっと戻ってきた。
「あまり状況はよくありません」
本人を前にして言うのも、はばかられたのだろう。
姉のどれくらい・・・という消え入りそうな声にドクターは
個人差はあります、と前置きしたうえで
「3か月」と告げた。
あまりにも短く
あまりにも受け入れがたかった。
笑っているパパちゃんが
もうすぐいなくなってしまう。
どうしても現実味がなかった。
隣で姉が泣き崩れていた。
私は
受け入れることと
信じない選択を
両方心に入れた。
まだ、悲しむ時ではない。
と同時に
父の気持ちを思いやってくださったドクターに
心から感謝した。
さんざん今まで、心無いドクターの対応を
見てきた私からすれば
信じられない優しさだった。
この病院にしよう。
ここでなら
もう一度元気になれる。
人の命は本当に分からないものだ。
奇跡は、おこる。
おこしてみせる。