癌と共に~フーテンのパパちゃん~

大好きな父が癌になりました。クジラを見に行く日を夢見て。

胃がん~仕事と生きがい~

いくつになっても

人から必要とされたいと思う

 

生きていくために

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-2020年 水無月-

 

パパちゃんの葬儀の後

しばらくは法事が続いた。

 

長女から連絡があり

パパちゃんの好きなものを作るので

朝から早めに来るからね、と。

 

長女は料理がすごく上手。

我が家の次男も料理好きなため

サブとして手伝っていた。

 

ただ問題が。

うちの包丁がめっちゃ切れない

 

あまり気にせず使っていたが

最近は夏野菜を料理することも多く。

 

ナスとトマトが切れないぃ

 

結構ストレスだった。

しかも慣れない姉なら、あまりのキレなさに

ケガをするかもしれない。

 

いやそれより

「なんね、この包丁は!」

姉がキレるかもしれん。

 

これはヤバい。

 

ということで

包丁を研ぎにいくことにした。

 

 

地元に工芸や職人が

昔ながらの街並みを構えてある処がある。

 

今は大型ショッピングモールが主流なため

昔の賑わいはないが

それでも夏祭りの時などはとてもにぎわう。

 

その中に

刃物を扱う問屋さんが並ぶ一角があり

包丁研ぎもしてあった。

 

三徳包丁を二つと

刺身包丁を一つ

新聞紙にくるんでお尋ねすることに。

 

グーグルさんに聞くと

お店はすぐに分かった。

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小さなお店で、駐車場も見当たらず。

歩道に乗り上げ店内に入ると。

 

男性が一人工場の暗がりに座っておられた。

 

「・・・あの・・・」と声をかけると

「包丁研ぎに来たの?すぐに終わるよ」

と優しくお返事があった。

 

職人さんだから、もっと気難しそうなのかと思ったが

全然優しそうな方だった。

 

ただめっちゃおじいちゃん。

 

足元がなんというか、おぼつかない💦

 

包丁を握ってウロウロするので

正直ハラハラしていた。

 

でも作業が始まると

その手さばきに見とれてしまうほど

かっこよかった。

 

昔ながらの研磨機だと思う。

スイッチを入れると

ゴオンゴオンと音をたてながら機械が回る。

井戸水をバケツに汲み

チョロチョロと流しながら

火花を散らしながら研磨していく。

 

3回研磨機を変えながら、丁寧に研いでいく。

 

ただ時々包丁が足元に落ちるΣ(゚Д゚)

 

「ありゃりゃ」と言いながらまた研ぎなおす。

 

最後に新聞紙で切れ味を確かめる。

 

刺身包丁は1回でスパッと切れた。

 

三徳包丁の方は納得いかないのか

また最初から工程をやり直されていた。

 

たぶん私が長い事お手入れしてなかったからだ・・・

 

 

おそらく30~40分くらいだったろうか。

まったく見ていて飽きなかった。

 

料理が好きな次男にも見せてあげたかったな-。

 

 

お礼を言い、失礼ながらお年を伺うと

「年取っちゃったよ、90歳」

照れながら笑顔で言われる姿に

これぞ『匠』だなと心から思った。

 

「いや、本当に素晴らしいなと思いました」

「恰好いいです!また必ず来ますのでお願いします」

「大事に使わせてもらいます」

何度もお礼を言って、その場を離れた。

 

現役でお仕事をされるのが

生きがいでもあり、また元気の秘訣なのだろう。

 

パパちゃんも、最後まで仕事をしたがっていた。

 

心臓も悪く、後年は病気もしていたので

もうゆっくり隠居だよ、と話していたが

「俺にはもうできる仕事はないだろうか」

とよく言っていた。

お勤めは苦手だが、何かをしたい、という気持ちは

常にある人だった。

 

私の話を聞いてもらったり

子ども達のために家に居てくれること

細々とした面倒なこともイヤな顔一つせずしてくれること

パパちゃんだから、助かってるんだよ

と話すと

「それくらいしか、できないからなぁ」

と言いながらも嬉しそうだった。

 

 

”何もする事がない”ということは

”楽”という事ではないのだと

 

なにか役割があってこそ

必要とされていると感じる

 

生きていくうえで

大切な力になる

 

パパちゃんが教えてくれた

 

せっかく研いでくださった包丁が嬉しくて

普段は買わない刺身のさくを購入♬

 

切れる!!!

 

あまりの切れ味のよさに調子に乗っていたので

 

自分の指までザックリいった・・・

 

痛って―(´;ω;`)