癌と共に~フーテンのパパちゃん~

大好きな父が癌になりました。クジラを見に行く日を夢見て🌈

胃がんからの家族葬~出棺~

二人で過ごした日々

 

楽しかったね

毎日笑ってたね

 

この道を通るたびいつも思い出す

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~出棺~

読経の後は私たち家族だけのため挨拶などは抜きにした。

葬儀社のスタッフが柩に入れるお花を用意し、その間に私たちも荷物をまとめ火葬場へ向かう準備をする。

 

「では、最期のお別れを」

 

スタッフに促され、パパちゃんの思い出の品を柩に納める。

 

お出かけに絶対欠かさない帽子は、長男と次男がかぶせてあげた。

大好きなニャンコとわんこの写真は、甥っ子が胸の上にそっと置いた。

 

長女が漬物を持たせ

柩の中には釣り竿もある。

 

さぁ、パパちゃん大好きな釣りに行けるよ

 

ずっとずっと行きたかったもんね

 

「ちきしょう、情けねぇな」

筋力や体力を失い、だんだん動かなくなる足や体が歯がゆくて

よくそう言ってたね

 

もう、自由だよ

 

どこへだって行ける

 

胸も苦しくない

 

足場の悪い岩場だって

少し高い防波堤だって

 

昔みたいにひょいひょいって行けるよ

 

 

みんなで

「パパちゃん」

「じいちゃん」

「おとうさん」

声をかけながら

お花を入れ続けた

 

それはそれはたくさんの

彩とりどりのきれいなお花に囲まれて

笑ったように眠るパパちゃんは

 

幸せそうにみえたんだ

 

 

「ありがとう。」

「だいすき。」

「またね。」

 

 

やっと

やっと

言えた

 

 

みんなに見送られる中、かけた音楽は

ゴッドファーザーのテーマ』

 

パパちゃんにぴったり(笑)

 

 

私だけが霊柩車の助手席に

パパちゃんの遺影を抱いて乗り込み

あとはみんなそれぞれの車で火葬場へ向かう。

 

運転手は最初の打ち合わせの時に来てくれた男性のスタッフ。

 

気遣いながら、時折声をかけてくれた。

 

 

途中、パパちゃんと二人で住んでいた近くを通った。

 

遺影を窓側に向け見えるようにした。

 

「懐かしいね、家の近くだよ」

話しかけながら、進んでいく。

 

 

火葬場は遠い。

 

 

パパちゃんと走る最期のドライブをかみしめながら