癌と共に~フーテンのパパちゃん~

大好きな父が癌になりました。クジラを見に行く日を夢見て。

胃がん~話し相手は、大事~

話を聞いてもらうと、安心する。

 

ただ聞いてもらいたい

 

それだけで、心が元気になれる

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パパちゃんは営業のお仕事が得意だった。

 

だが人の間でうまく立ち回る、

といったことが苦手なパパちゃん。 

会社員が致命的に向かない性格だったため

かなり職を転々としていた。

 

今でこそわかるが、母はかなり苦労したとも思う。

 

最終的にたどりついたのは

自営の皮革製品の小売りだった。

 

トカゲ、ワニ、ダチョウ、ヘビ・・・

クロコダイルやヒクイドリなども扱っていた。

 

主に美容室などが多く、顧客のほとんどが女性。

お店は基本持たず、営業で廻る。

 

「お客さんの話を聞いて、茶を飲むのが仕事」

とよく言っていた。

 

なんじゃそら、と思っていたが

本当にそうだった。

 

詐欺なんじゃないかとホントに心配していた(-_-;)

 

ほとんどがお客さんに呼ばれ

お茶をしながら、ひたすら話を聞く。

 

時には踊りを見たり、カラオケを聞いたり、

三味線を聞いたり。

 

オバちゃんたちに囲まれ

ヤイヤイ話すのを、ただ黙ってニコニコと聞く。

 

すると話終えたお客さんたちが

「それじゃあ、なんかもらおうかね」

となるらしい。

 

マジかい(;・∀・)

 

ただ扱っている商品は結構良いものだったので

お値段もそれなりに良かった。

 

でも同じものをデパートなどで見ると

倍以上の高値で売られていた。

 

パパちゃんからは、決して勧めたことはないらしい。

 

お客さん達もいいものが、お手頃で手に入るのも

分かっていたのだろう。

 

またアフターフォローをしっかりしていた。

お手入れだったり、傷んだところの張替えだったり。

 

一切面倒がらず、こまめに相談に乗っていた。

 

なので、パパちゃんから買ったバッグを

20年以上大事に使っている、という

お客さんが結構いて、

パパちゃんも嬉しそうだった。

 

また人の話をさえぎらず、聞きに徹する姿勢が

ウケていたらしく。

 

メインは女性だが、そのうちご主人とも仲良くなり、

男性用のベルトなども扱うようになった。

 

 

パパちゃんはいつも私の話も聞いてくれていた。

 

会社であったこと、子どもの事や義両親とのこと。

 

いっぱいいっぱいになる私が

とりとめもなく話すことを

ただ黙って、うん、うん、と聞いてくれていた。

 

それは私にとって、本当に心が救われる思いだった。

 

決して私を責めない。

 

かと言って、人の事を悪くも言わない。

(私は言うけど)

 

それはきついね、しんどかったね、と

寄り添ってくれる気持ちが、嬉しかった。

 

本来ならば主人に相談するところだろう

 

だが主人に話すと

「だからだめなんだよ」と

上から目線でダメ出ししてくるか、

自分のほうがいかに大変かを

延々と話し出すため

いつからか、話すことを止めていた。

 

 

女性は、もともとおしゃべり好き。

話すことでストレス発散になっている。

 

ただ話を聞いてもらいたいのだ。

 

相談、といった場合でも

自分の中では大体決めている(笑)

後押しを、求めているのだ。

 

でも話す中で、気持ちの整理ができる。

 

だから「話す」ということはとても大事。

 

 

今でも

パパちゃんの写真に毎日話しかける。

 

いつも笑いながら

話を聞いてくれたパパちゃん。

 

「うん、そうか」

その姿を思い浮かべる。

 

いつか、また

いっぱいお話ししようね。