最期を迎える場所に「家」を望む人は多い
だが現実は「病院」という現状の多い日本
もっと自分らしく
穏やかな最期を
静かにパパちゃんがこの世から旅立っていった
長女も次女も「パパちゃん-」「お父さん・・・」
涙が止まらず体をさすっていた。
私は2階に駆け上がり、主人と子ども達を起こした。
もっと早くに呼んでいれば
それだけが悔やまれた
起きてきて呆然とする子ども達
信じられない、という思いだろう
私たちもそうなのだから
次に診療所に電話を入れた。
すぐに医師に診てもらわないといけないと思っていた。
すると看護師さんが出られ
『ご家族でゆっくりとお別れをしてください。
その後のご連絡で大丈夫です。すぐに行けるよう準備しておきますから』
とのことだった。
この時間はありがたかった
娘達、孫に囲まれたパパちゃんは穏やかに眠っているかのようにしか見えなかった
私はパパちゃんが良く使っていた湯飲みにお水を汲むと
コットンと割りばしで《末期の水》を取った。
なんだかおじいちゃんの時くらいしか覚えがなかったので、言葉は知っているものの、手順が???でグーグルさんで検索していた。
お茶が好きだったパパちゃんが
あの世に行く途中に喉が渇かないように
私の後は、長女、次女、とみんなで変わりばんこに
パパちゃんの唇を湿らしていった。
こういった行為が
意味があるのか、ないのかは私もわからない
だがおそらく残された者たちが
一つ一つを大切に、静かに実感していくことで
愛する人の”死”を受け止める意味をもつのではないだろうか
みんなに囲まれ
「パパちゃん」
「じいちゃん」
「おとうさん」
たくさん声をかけてもらい
顔や手や体をみんなでさすり
心からの本当の涙を流してもらえるパパちゃんは
きっと幸せなんだと思う
みんなの心がパパちゃんとの別れを受け入れられるように
そして安心してあの世に出発できるように
私にはまだまだすべきことがあった