癌と共に~フーテンのパパちゃん~

大好きな父が癌になりました。クジラを見に行く日を夢見て🌈

胃がん~リビングウィルについて~

生きることはむずかしい

 

それと同じくらい

最期の時を考えることも

難しい

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-2020年 卯月-

パパちゃんの癌に転移が見つかってから

 

いろんな事を考えた

 

治療や薬はもちろん

最期の時をどうするのか

 

母との別れが早かったこともあるのだと思う

 

どこかで冷静に考えている自分もいた

 

でも何より

パパちゃんの気持ちを

尊重してあげたいというのが

一番だった

 

 

20年以上、心臓の病気と闘ってきた

 

度重なる心不全心筋梗塞を経た

パパちゃんの心臓は

ステントを入れまくり

バイパス手術まで施した

 

救急車の中で心停止を起こし

心肺蘇生をして胸に焦げ目ができたり

 

カテーテルの過程で、飛んだ血栓により

脳梗塞になりかけたこともある

 

オペ室に向かう当日のストレッチャーの上で

心不全を起こしニトロを飲みながら

運ばれていったこともある

 

本当は、かなり限界だったはずだ

 

私の勝手な憶測だが

パパちゃんは私たち姉妹のために

早くに亡くなった母の分までという気持ちで

頑張って生きてくれたのだと思う

 

 

2度目の心筋梗塞の後だったか

無理がたたって状況がとても悪かった

 

幾つもの管と呼吸器をつけられ

全く体を動かすことさえできない状態の

パパちゃんが初めて涙を流した

 

恐怖だったのだと思う

 

でもそれは

「死」への恐怖ではなく

「自由を失う」ことへの恐怖だった

 

また私も

何度も手術や、もっと危ないときにも

立ち会ったが

動くことも話すことすらもできないこの状況が

見ていて一番辛かった

 

 

パパちゃんは元来の、のんびりした気質と

執着しない性格から

「最後は潔く逝かせてくれよ」と

よく私に言っていた

 

明るく、笑って

 

でもそれが本気であることも分かっていた

 

もし万が一の時は

延命だけはしないでくれと

何度も言われた

 

何も出来ず

ただ生かされる状態ではいたくないと

 

自由を何より愛するパパちゃんだからこその

切なる願いだった

 

もちろん、人によっていろんな考え方がある

 

十人十色、皆病気の状況も環境も違う

 

年齢だってある

 

若ければ若いほど

なんとしても生きたいという思い

死なせたくないという願い

 

それも当然でもあり

大切なことだ

 

でも何度も三途の川で遊んできたパパちゃんは

 

今までを生きてきて

いざというときの覚悟はできていたと思う

 

また一番近くで見ていた私にも

その思いは伝わっていた

 

 

実際周りでも、最後の判断でもめるところが多い

もっと高齢の親族だが、老衰の状態の時の事

子供たち全員で延命はしないと

話し合っていたにも関わらず

長男の独断で「やっぱりかわいそう」と

勝手に延命措置をしてしまった。

結果しゃべることも、食べることも出来ず

病院へお見舞いに来る人もだんだんと減り

とても寂しい中、何年も放置され亡くなられた。

残された親族は「年金目当てだ」とかなりもめていた。

 

また同じく高齢の祖母

老衰の中、意識がなくなってもずっと

最後まで点滴をされていた。

体がもう吸収できない水分で、

シーツがぐっしょりと湿っていたのを覚えている。

 

看取りを専門とするお医者さんの話の中で

人は最後の時、自然と食べ物も水分も受け付けなくなる。

それは体が「死」へと旅立つ準備をしているのだ、と。

それなのに点滴を行うのは、入らない体に無理やり流し込んでいるようなもの

本人にとっては「苦痛」でしかないのだと

昔は自宅で、食べれなくなればそのまま静かに死を迎えていたが

病院にいる事も多い今、医療と称して当たり前に点滴を打つ行為は

過剰な延命措置に他ならない、と。

 

だが現代の医療の中で

複雑な、難しい事情もある

 

医師として、看護師として

見過ごすことができない場合もある。

 

そんな中で、

パパちゃん本人の願いをかなえるために

何が大切なのか

 

そんな中

リビングウィルというものを知った。

※終末期を迎えた時、延命措置の在り方を自分で決める事前指示書 

近藤 誠 医師のリビングウィル

リビングウィル(終末期の医療・ケアについての意思証明書)

いっさい延命治療はしないでください。

私は今日まで、自由に生きてきました。

64歳まで、好きなことに打ち込んで、幸せな人生でした。

そして、自分らしく人生を終わりたいと思っています。

今、私は意識を失っているか、呼びかけに少し反応するだけだと思います。

すでに自力では、呼吸もほとんどできないかもしれません。

このまま命が尽きても、何も思い残すことはありません。

だから、決して救急車を呼ばないでください。

すでに病院にいるなら、人口呼吸器をつけないでください。つけられているなら、

はずしてくださ。

自力で飲んだり食べたりできないなら、無理に、口に入れないでください。

点滴も、チューブ栄養も、昇圧薬、輸血、人工透析などを含め、延命のための治療

を何もしないでください。すでに行われてなら、すべてやめてください。

もし私が苦痛を感じているなら、モルヒネなどの、痛みをやわらげるケアは、ありがたくお受けします。

今、私の命を延ばそうと力を尽くしてくださっている方に、心から感謝します。

しかし、恐れ入りますが、私の願いを聞いて下さい。

私はこの文章を、冷静な意思にのもとに書き、家族の了解を得ています。

いっさい延命治療をしないでください。

この最期の願いを、どうぞかなえてください。決して後悔しないことを、ここに誓います。

2012年12月7日

       住所

       自筆署名             歳  印 

       証人署名

近藤 誠 医師   

著書『医者に殺されない47の心得』より

 引用元:近藤 誠 医師のリビングウィル - 高齢者の病気対策                                        

こういうものがある、ということも知って驚きだった。

 

この先、いつどうなるか分からない。

 

心の準備と、ある程度の覚悟はしておかなくてはいけない。

 

 

それでも

このリビングウィル

パパちゃんに書いてもらうことは

私にはできなかった