癌と共に~フーテンのパパちゃん~

大好きな父が癌になりました。クジラを見に行く日を夢見て🌈

胃がんからの家族葬~納棺~

少しはゆっくりできたかな

 

忘れ物はないね

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あっという間に時間は過ぎ

みんなもそれぞれ喪服に着替えた。

 

次男は制服。

長男は高校の卒業式の際に作ったスーツ。

万が一を考えて、黒の目立たないステッチのみのシンプルなスーツにしていた。

 

葬儀社から

「ご出発は納棺していかれますか?」

・・・逆に聞きたい。納棺以外にあるのか(;´・ω・)

 

すると棺に入れない場合もあるという。

「どうやって???」不思議に思い聞くと

「えーっと・・・担架に乗せて、とかですねぇ」

 

マジかΣ(゚Д゚)

 

いやいや担架はないでしょうよ

落っこっちゃうよ💦

 

「いえ、納棺でお願いします」

 

 

ベッドに横たわるパパちゃんは、本当に眠っているようで

ひょいっと今にも起きそうなのだ

 

笑って目をパッチリ開けはしないかと

この期におよんでもまだそんなことを考えていた。

 

納棺してしまうと、お顔くらいしか触れられなくなってしまう。

その前にまたそれぞれパパちゃんの身体にふれて別れを惜しんだ。

  

葬儀社の方がパパちゃんを棺に移す

そおっとそおっと

 

みんなで見つめた

義父母も来ていた

 

そして「思い出の品を忘れずにお持ちください」と。

 

パパちゃんの棺にいれてあげるもの

寂しくないように

いつも使っていたもの

すきなもの

 

本当は音楽が大好きだからCDとか、いつも使っていた眼鏡とか入れてあげたいんだけど、 プラスチックなどは溶けてくっついてしまうし、金属は残ってしまう

 

納棺の際OKなものは、

燃えるもの、残らないもの、溶けて骨を汚さないもの、燃えて危険でないもの

 

 

でも音楽はずっと流しておくからね

愛用のウォークマンは私が持っていよう

 

いつもかぶっていた帽子も

お出かけの時に履いていた靴も

 

そうそう、身だしなみを気にするから

櫛がないと文句言うね

 

子どものように可愛いがっていた

わんこ🐶とにゃんこ😾の写真も入れようね

 

そうだ!釣り竿を忘れちゃいけない!!!

 

大事に大事に使っていた竹の竿が3本あった。

それを見て次女のパートナーが言葉を詰まらせた。

「これ、お父さんにあげたやつだ・・・」

 

釣り好きなため、パパちゃんを海に連れて行ってくれたり、

誕生日の時に竹の竿をプレゼントしてくれていた。

軽くてとても使いやすいと、すごくパパちゃんが喜んで、使ううちに壊れてしまったが、テープで補強して使っていた。

 

ずっと大切に持っていたことに、胸がいっぱいになったのか

ポロポロと泣いていた。

 

向こうで竿が1本だと

「私の分がない!」とママちゃんが怒り出しそうなので

2本棺に入れてあげることにした。

金具の部分は取り外して。

これならケンカせずに、仲良く釣りできるよね。

 

そして1本は、次女のパートナーに後でこっそりあげた。

「えっ・・・いいの」と驚いていたが、もらってくれた方がきっとパパちゃんも喜ぶ。

嬉しそうにもらってくれた。

 

最後にお金を持たせることに。

六文銭といって向こうで使うお金になり、三途の川の渡し賃とかになるのだそう。

お金も金属なのでNGなとこもあるけれど、この葬儀社はOKだった。

 

みんなそれぞれ小銭を持たせる。

子ども達もそれぞれのお小遣いから出していた。

 

義父が千円札を出してきた。

こういう時だけは、気前がいい。

でもまぁありがたく頂戴した。

 

「無駄遣いしたらいかんよ」

「途中で100均に寄らんようにね」

 

パパちゃんの性格を知ってるだけに

みんなで念を押す(笑)

 

 

それから男の人がかかえて車へ運ぶ。

孫はみんな男の子。

子ども達が頼もしくみえる。

 

パパちゃんが抱いてきた孫たち。

その孫たちに大切に抱えられて

パパちゃんは家を出た。

 

 

行ってらっしゃい

 

 

ラクションと共にパパちゃんが家を後にした。