少しはゆっくりできたかな
忘れ物はないね
あっという間に時間は過ぎ
みんなもそれぞれ喪服に着替えた。
次男は制服。
長男は高校の卒業式の際に作ったスーツ。
万が一を考えて、黒の目立たないステッチのみのシンプルなスーツにしていた。
葬儀社から
「ご出発は納棺していかれますか?」
・・・逆に聞きたい。納棺以外にあるのか(;´・ω・)
すると棺に入れない場合もあるという。
「どうやって???」不思議に思い聞くと
「えーっと・・・担架に乗せて、とかですねぇ」
マジかΣ(゚Д゚)
いやいや担架はないでしょうよ
落っこっちゃうよ💦
「いえ、納棺でお願いします」
ベッドに横たわるパパちゃんは、本当に眠っているようで
ひょいっと今にも起きそうなのだ
笑って目をパッチリ開けはしないかと
この期におよんでもまだそんなことを考えていた。
納棺してしまうと、お顔くらいしか触れられなくなってしまう。
その前にまたそれぞれパパちゃんの身体にふれて別れを惜しんだ。
葬儀社の方がパパちゃんを棺に移す
そおっとそおっと
みんなで見つめた
義父母も来ていた
そして「思い出の品を忘れずにお持ちください」と。
パパちゃんの棺にいれてあげるもの
寂しくないように
いつも使っていたもの
すきなもの
本当は音楽が大好きだからCDとか、いつも使っていた眼鏡とか入れてあげたいんだけど、 プラスチックなどは溶けてくっついてしまうし、金属は残ってしまう
納棺の際OKなものは、
燃えるもの、残らないもの、溶けて骨を汚さないもの、燃えて危険でないもの
でも音楽はずっと流しておくからね
愛用のウォークマンは私が持っていよう
いつもかぶっていた帽子も
お出かけの時に履いていた靴も
そうそう、身だしなみを気にするから
櫛がないと文句言うね
子どものように可愛いがっていた
わんこ🐶とにゃんこ😾の写真も入れようね
そうだ!釣り竿を忘れちゃいけない!!!
大事に大事に使っていた竹の竿が3本あった。
それを見て次女のパートナーが言葉を詰まらせた。
「これ、お父さんにあげたやつだ・・・」
釣り好きなため、パパちゃんを海に連れて行ってくれたり、
誕生日の時に竹の竿をプレゼントしてくれていた。
軽くてとても使いやすいと、すごくパパちゃんが喜んで、使ううちに壊れてしまったが、テープで補強して使っていた。
ずっと大切に持っていたことに、胸がいっぱいになったのか
ポロポロと泣いていた。
向こうで竿が1本だと
「私の分がない!」とママちゃんが怒り出しそうなので
2本棺に入れてあげることにした。
金具の部分は取り外して。
これならケンカせずに、仲良く釣りできるよね。
そして1本は、次女のパートナーに後でこっそりあげた。
「えっ・・・いいの」と驚いていたが、もらってくれた方がきっとパパちゃんも喜ぶ。
嬉しそうにもらってくれた。
最後にお金を持たせることに。
《六文銭》といって向こうで使うお金になり、三途の川の渡し賃とかになるのだそう。
お金も金属なのでNGなとこもあるけれど、この葬儀社はOKだった。
みんなそれぞれ小銭を持たせる。
子ども達もそれぞれのお小遣いから出していた。
義父が千円札を出してきた。
こういう時だけは、気前がいい。
でもまぁありがたく頂戴した。
「無駄遣いしたらいかんよ」
「途中で100均に寄らんようにね」
パパちゃんの性格を知ってるだけに
みんなで念を押す(笑)
それから男の人がかかえて車へ運ぶ。
孫はみんな男の子。
子ども達が頼もしくみえる。
パパちゃんが抱いてきた孫たち。
その孫たちに大切に抱えられて
パパちゃんは家を出た。
行ってらっしゃい
クラクションと共にパパちゃんが家を後にした。