ふと目をやるといつもあの笑顔で見ていてくれる
「おはよう。少し寒かね」
今日もパパちゃんに話かけて、1日が始まる
葬儀社との打ち合わせの中で、遺影の話もした。
分かっていたのだが、選ぶことができないまま
今日になってしまっていた。
一番大事なものなのに
私は写真が好きで
家族写真はもちろん
子ども達の成長の写真はとんでもないほどある。
パパちゃんとお出かけするときも
いつも写真を撮っていた。
昔は一眼レフカメラを持ち歩いていたが
今は携帯のカメラ機能もよくなったので
携帯で撮ることが多かった。
ファインダーを向けると
いつもパパちゃんはおどけてみせる
変な顔をしたり
ピースサインをしたり
子どもような笑顔でいつもキラキラしていた
最期に撮った写真は2日前
家族そろっての夕食の時
子どもが買ってくれたお花を持って
いつもと変わらない一コマだった
正直写真があふれかえりすぎて、困ってしまっていた。
でも手術をしてからどんどん痩せていったパパちゃん
痩せるのをとても気にしていたので、少し前でも元気な頃がいいよね
考えて選んだのは、初めて船釣りに行った時の写真
家族でお泊りをして、そこの女将さんが撮ってくれたものだ
私が撮ったものではなかったけれど
家族に囲まれて笑うパパちゃんは最高の顔をしていた
「これでお願いします」
一人の写真でなくてもOKなため、切り抜いて使ってもらうことに。
そしてその写真に合わせる服と背景を選ぶことができた。
姉たちとあーだこーだ言いながら考える。
背景も色んなカラーやグラデーションがあり、
着るものも、着物からスーツ、カジュアルな服まで色々ある。
ネクタイの種類まで複数あり、迷ってしまった。
ここで姉たちは本領発揮とばかり、一生懸命セレクトしてくれた。
『このスーツに近いの、持ってたよね』
『ネクタイも、こんな感じ』
写真は私が選び、コーディネートは姉たちが。
かくして出来上がった写真を、しばらくしてから確認のため持ってきてくれた。
見た瞬間、息をのんだ
パパちゃんだ
まぎれもないパパちゃんそのままの姿で
写真の中で笑っている
姉たちも驚きと感激で歓声と涙がでる
「わー!お父さんだ-!!!」
隠居してからは、ゆったりとした服装だったパパちゃん。
治療を始めてからは、ほとんどパジャマ姿だったパパちゃん。
でも写真のパパちゃんは
スーツ姿で1番元気に輝いていたころ、そのままだった。
大好きな仕事をし、車に乗り、あちこちを旅していた頃を思い出させる
最高の遺影に、私たちは心から感謝した。
パパちゃんが見ても、きっと喜ぶに間違いない。
そして言うんだよね
『いえい♬』って(;^ω^)