癌と共に~フーテンのパパちゃん~

大好きな父が癌になりました。クジラを見に行く日を夢見て🌈

胃がんからの家族葬~斎場にて~

パパちゃんと過ごせる最期の場所

 

静かにのんびりと家族だけで

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パパちゃんが出発した後、私たちも続いて家を出た。

 

(先日すぐ近くのおうちで不幸があり、斎場へ行っている間に空き巣の被害にあいました。事情を知っているのだと思われますが・・・

慌てて家を出るので、施錠を忘れないようにお気を付けください)

 

家から車で20分ほど。近くにコンビニもあり、立地条件も良い。

最初は遠方からの訪問も考えて、近くのビジネスホテルも調べていた。

斎場と連携して割引のところもあったりする。

 

1日ひと家族のみ。

駐車場も広い。

あまり暗くもなく、落ち着いた雰囲気。

私以外は皆初めて来たが、気に入ってくれた。

 

パパちゃんが安置されている、親族控室に案内される。

きれいに祭壇がつくってあり、その周りを献花で飾ってある。

とても立派で安心した。

 

控室を見て、姉たちも「広いね~大丈夫じゃん!」とビックリ。

私達家族が泊るのにはまったく問題なさそう。

男性担当者の『狭くてムリ』という言葉を思い出し皆で文句を言った。

 

ホールはすぐ横にあるのだが、姉たちも見て

「ここ(ホール)は借りなくて正解だよ。控室の広さで充分。よく見つけたね」と。

 

またキッチンも広くほとんどが揃っていて、大型のコーヒーメーカーがあるのが嬉しかった。お布団も1組ずつ押し入れにセットしてあったが、もちろん有料(3人までは料金込み)なのと交代で休むため、2つレンタルしあとは家から簡易マットやブランケットを持ち込ませてもらった。

 

お風呂やトイレ、洗面所などもキレイでタオル含めアメニティも揃っている。

(中にはすべて有料なところも多い)

 

こちらからも茶菓子は買っていっていたが、向こうでもかなり用意していてくれた。

 

パパちゃんを囲む献花。

孫一同と、義父から。

そして一番豪華なお花が長女の勤め先の院長先生と同僚から贈られていた。

長年勤めてきた姉の人徳であろう。

これにはも驚いて、長女が泣き出していた。

 

それもとても立派なお花が一対。

義父のよりも華やかだったのでみんなでガッツポーズ💪

これで来ても威張る事はないだろう。

 

 

パパちゃんはきれいなお花に囲まれて、静かに眠っている。

持ってきたウォークマンを棺の側にセット。

音楽を流した。

 

柩のすぐわきに置いたところ思いのほか響くので、他の人たちは知らずに斎場の音響とおもっていたらしい(;'∀')

 

パパちゃんが好きな曲

ジャズやラテン、ギターや映画音楽。

 

音楽があると、明るい感じになれる

 

そこで、ようやく一息入れる。

 

バタバタと慌ただしい中、ここまでこれた。

 

だがこの先、またもや義実家とのトラブルが待っていた

 

胃がんからの家族葬~納棺~

少しはゆっくりできたかな

 

忘れ物はないね

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あっという間に時間は過ぎ

みんなもそれぞれ喪服に着替えた。

 

次男は制服。

長男は高校の卒業式の際に作ったスーツ。

万が一を考えて、黒の目立たないステッチのみのシンプルなスーツにしていた。

 

葬儀社から

「ご出発は納棺していかれますか?」

・・・逆に聞きたい。納棺以外にあるのか(;´・ω・)

 

すると棺に入れない場合もあるという。

「どうやって???」不思議に思い聞くと

「えーっと・・・担架に乗せて、とかですねぇ」

 

マジかΣ(゚Д゚)

 

いやいや担架はないでしょうよ

落っこっちゃうよ💦

 

「いえ、納棺でお願いします」

 

 

ベッドに横たわるパパちゃんは、本当に眠っているようで

ひょいっと今にも起きそうなのだ

 

笑って目をパッチリ開けはしないかと

この期におよんでもまだそんなことを考えていた。

 

納棺してしまうと、お顔くらいしか触れられなくなってしまう。

その前にまたそれぞれパパちゃんの身体にふれて別れを惜しんだ。

  

葬儀社の方がパパちゃんを棺に移す

そおっとそおっと

 

みんなで見つめた

義父母も来ていた

 

そして「思い出の品を忘れずにお持ちください」と。

 

パパちゃんの棺にいれてあげるもの

寂しくないように

いつも使っていたもの

すきなもの

 

本当は音楽が大好きだからCDとか、いつも使っていた眼鏡とか入れてあげたいんだけど、 プラスチックなどは溶けてくっついてしまうし、金属は残ってしまう

 

納棺の際OKなものは、

燃えるもの、残らないもの、溶けて骨を汚さないもの、燃えて危険でないもの

 

 

でも音楽はずっと流しておくからね

愛用のウォークマンは私が持っていよう

 

いつもかぶっていた帽子も

お出かけの時に履いていた靴も

 

そうそう、身だしなみを気にするから

櫛がないと文句言うね

 

子どものように可愛いがっていた

わんこ🐶とにゃんこ😾の写真も入れようね

 

そうだ!釣り竿を忘れちゃいけない!!!

 

大事に大事に使っていた竹の竿が3本あった。

それを見て次女のパートナーが言葉を詰まらせた。

「これ、お父さんにあげたやつだ・・・」

 

釣り好きなため、パパちゃんを海に連れて行ってくれたり、

誕生日の時に竹の竿をプレゼントしてくれていた。

軽くてとても使いやすいと、すごくパパちゃんが喜んで、使ううちに壊れてしまったが、テープで補強して使っていた。

 

ずっと大切に持っていたことに、胸がいっぱいになったのか

ポロポロと泣いていた。

 

向こうで竿が1本だと

「私の分がない!」とママちゃんが怒り出しそうなので

2本棺に入れてあげることにした。

金具の部分は取り外して。

これならケンカせずに、仲良く釣りできるよね。

 

そして1本は、次女のパートナーに後でこっそりあげた。

「えっ・・・いいの」と驚いていたが、もらってくれた方がきっとパパちゃんも喜ぶ。

嬉しそうにもらってくれた。

 

最後にお金を持たせることに。

六文銭といって向こうで使うお金になり、三途の川の渡し賃とかになるのだそう。

お金も金属なのでNGなとこもあるけれど、この葬儀社はOKだった。

 

みんなそれぞれ小銭を持たせる。

子ども達もそれぞれのお小遣いから出していた。

 

義父が千円札を出してきた。

こういう時だけは、気前がいい。

でもまぁありがたく頂戴した。

 

「無駄遣いしたらいかんよ」

「途中で100均に寄らんようにね」

 

パパちゃんの性格を知ってるだけに

みんなで念を押す(笑)

 

 

それから男の人がかかえて車へ運ぶ。

孫はみんな男の子。

子ども達が頼もしくみえる。

 

パパちゃんが抱いてきた孫たち。

その孫たちに大切に抱えられて

パパちゃんは家を出た。

 

 

行ってらっしゃい

 

 

ラクションと共にパパちゃんが家を後にした。

 

 

胃がんからの家族葬~面影~

ふと目をやるといつもあの笑顔で見ていてくれる

 

「おはよう。少し寒かね」

今日もパパちゃんに話かけて、1日が始まる

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葬儀社との打ち合わせの中で、遺影の話もした。

 

 

分かっていたのだが、選ぶことができないまま

今日になってしまっていた。

 

一番大事なものなのに

 

私は写真が好きで

家族写真はもちろん

子ども達の成長の写真はとんでもないほどある。

 

パパちゃんとお出かけするときも

いつも写真を撮っていた。

 

昔は一眼レフカメラを持ち歩いていたが

今は携帯のカメラ機能もよくなったので

携帯で撮ることが多かった。

 

ファインダーを向けると

いつもパパちゃんはおどけてみせる

 

変な顔をしたり

ピースサインをしたり

 

子どもような笑顔でいつもキラキラしていた

 

最期に撮った写真は2日前

家族そろっての夕食の時

子どもが買ってくれたお花を持って

いつもと変わらない一コマだった

 

正直写真があふれかえりすぎて、困ってしまっていた。

 

でも手術をしてからどんどん痩せていったパパちゃん

痩せるのをとても気にしていたので、少し前でも元気な頃がいいよね

 

考えて選んだのは、初めて船釣りに行った時の写真

www.hikaru-ko.xyz

 家族でお泊りをして、そこの女将さんが撮ってくれたものだ

 

私が撮ったものではなかったけれど

家族に囲まれて笑うパパちゃんは最高の顔をしていた

 

「これでお願いします」

一人の写真でなくてもOKなため、切り抜いて使ってもらうことに。

 

そしてその写真に合わせる服と背景を選ぶことができた。

姉たちとあーだこーだ言いながら考える。

 

背景も色んなカラーやグラデーションがあり、

着るものも、着物からスーツ、カジュアルな服まで色々ある。

ネクタイの種類まで複数あり、迷ってしまった。

 

ここで姉たちは本領発揮とばかり、一生懸命セレクトしてくれた。

 

『このスーツに近いの、持ってたよね』

 『ネクタイも、こんな感じ』

 

写真は私が選び、コーディネートは姉たちが。

 

かくして出来上がった写真を、しばらくしてから確認のため持ってきてくれた。

 

見た瞬間、息をのんだ

パパちゃんだ

まぎれもないパパちゃんそのままの姿で

写真の中で笑っている

 

姉たちも驚きと感激で歓声と涙がでる

「わー!お父さんだ-!!!」

 

隠居してからは、ゆったりとした服装だったパパちゃん。

治療を始めてからは、ほとんどパジャマ姿だったパパちゃん。

 

でも写真のパパちゃんは

スーツ姿で1番元気に輝いていたころ、そのままだった。

 

大好きな仕事をし、車に乗り、あちこちを旅していた頃を思い出させる

最高の遺影に、私たちは心から感謝した。

 

パパちゃんが見ても、きっと喜ぶに間違いない。

そして言うんだよね

『いえい♬』って(;^ω^)

 

 

胃がんからの家族葬~葬儀社への依頼~

慌ただしい時間の中で決めなくてはいけないことは多い。

 

一人では迷ってしまうことも

姉妹が居れば心強い

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気持ちの整理もつかぬまま、やらなければいけないことは次々と。

 

火葬を行うには「死亡届」と同時に「火葬許可申請書」を区役所に提出して

火葬許可証の交付を受ける必要がある。

その許可証を火葬場で提出し、火葬が済んだ後、火葬証明書印が押され

「埋葬許可証」となる 

(この埋葬許可証は納骨する際に必要となりますが、割とバタバタのさなかに渡されるので無くさないように)

 

通常、役場への届けや火葬場への申し込みは葬儀社が代理で行ってくれる。

が、火葬場は申し込み順となる。

しかも結構混むらしい💦

まぁ予定がたてられるものでもないので、致し方なし。

 

だがその火葬場の予約時間次第で、斎場での手順も変わってくる。

こちらとしては

今晩ゆっくりお別れをして、明日の午前中に葬儀、出棺。

そして火葬場へ移動して午後から火葬、お骨上げ(収骨)、

戻ってから精進揚げ、という流れが希望ではある。

 

だが火葬場の予約状況次第では、午前中しか空いてない場合もある。

その場合は先に火葬をしなくてはいけない。

仕方がないことだとは思うが、やはりできれば少しでも長い時間、パパちゃんと一緒にいたかった。

 

もうそこは葬儀社にお任せするしかない。

死亡診断書のコピーをお渡しして、できるだけ午後でとお願いした。

 

 

また葬儀の際の挨拶状と会葬御礼品も選ばなくてはいけない。

 

斎場へ来ていただいた方やご香典を頂戴した方にお渡しする、挨拶状と御礼品。

挨拶状はお任せで、御礼品はカタログの中から選ぶ。

 

コーヒーやお茶、日持ちのするお菓子類もあったが、あえて今治タオルのセットにした。

理由は《自分がもらって嬉しいから》

よくある封筒のセットはもう家にとんでもなくあるが、フェイスタオルは重宝する。

なんたって今治タオルだし。

 

後日、家にご香典を持ってお参りに来てくださる方が結構いて

聞くと49日忌までは会葬御礼品で良いとのこと。

食べ物類は日持ちするといっても賞味期限が気になる。

その点タオルだと気にしなくてよい。

葬儀社の勧めもあり、挨拶状と御礼品は多めに頼んでおいた。

しかも御礼品は最後、引き取ってくれるので助かった。

 

そして斎場に入ってからのことについて。

基本《1日葬プラン》になるので、今日は自由にお焼香のみしていただく。

 

その後、私達家族だけで一晩付き添いをする。

夕食は肉や魚ではないいわゆる『精進料理』

通常であれば『通夜振る舞い』と言って、お通夜の後に親しい人たちが

故人を偲んで思い出話にひたり食事や酒を共にする。

 

私も親戚の葬儀の際は、出させていただく事も多かった。

だが正直、故人の思い出話はそっちのけで

宴会さながらにひたすら酒を飲みまくる人たちは理解しがたいものがあった。

 

仮に故人が高齢の大往生だったとしても、残された遺族の精神的、体力的負担は相当だ。しかもそれが突然な逝去や病気、若い人ならなおさら、悲しさでいたたまれない。

悲しみを共有するのは大切だが、負担は主に家族のそれも女性にかかってくる。

 

義父母も、義兄も、最後の最期まで残って喋り、酒をひたすら飲むタイプ。

(もちろん主人も)

パパちゃんを偲んでなど100%ない人たちにおもてなしなんて、絶対に嫌だった私はコロナで逆に好都合とさえ思えた。

 

『通夜振る舞いは、いたしません!』

米倉涼子さんの大門未知子ばりに言える(笑)

 

葬儀社の方へも

「通夜ふるまい、カットで」と即答した。

 

長女がぴしゃりと「お酒は飲まないから」と言ってくれた。

恐らく主人は飲めるものと思っていたので残念そうだったが、私はほっとした。

 

夜の精進料理も、私達姉妹家族だけならば何とかなるだろうとお断りした。

 

これが大間違いだった💧

 

後々、精進料理をあちこちのお店に尋ねたのだが、どこも受け付けてくれず途方に暮れた。

 

店休日だったり、前日までの事前予約が必要だったり、

コロナの影響でお店自体が通常営業していないところも多かった。

どうしよう・・・(;゚Д゚)

結局、最後は葬儀社に再度お願いして

家族の人数分、精進料理のお弁当をお願いすることになった。

 

注:精進料理はお願いしましょう

 

でもこの時頼んだお店がたまたま家の近くの和食のお店で、取ったお弁当がとても美味しくてビックリ。

子ども達も皆喜んで食べ、全員完食✨

このお店には、その後も法事でお弁当をお願いすることになる。

 

 

次に「おときはどうしますか」と。

故人と一緒に食べる最後の食事の事。

葬儀の前、朝から食べることが多く、よくお膳で出される。

 

この葬儀社に決めた理由の一つに、

朝ごはんをサービスしてくれるというものがあった。

さすがに朝からコンビニのおにぎりではあんまりだし、

かといってお膳ほどは食べれない。

 

パパちゃんがダントツで好きなものが【お漬物】

どんな豪華な食事よりも

白米と味噌汁とお漬物があれば幸せな人だ。

 

お膳よりも、朝ごはんの方が喜ぶ

 

なのでサービスの朝ごはんに、お漬物を持参で持っていき

それをおときにすることにした。

 

また祭壇については一番シンプルなものでお願いしていたが、

お花がないと寂しいので子ども一同と孫一同で献花を1対予定していた。

 

すると後から義父が自分の名前で献花を一つ頼んでくれと連絡してきた。

仕方ないので、一緒にお願いすることに。

 

だがそうなると献花が奇数になるのでバランスが良くない。

仕方がないので、子ども一同はなくし、孫一同と義父からの対に変えた。

 

色んな手続きと並行しながら、パパちゃん方の親族へも連絡を入れた。

 

皆ショックで、言葉を失っていた。

 

一番会いたかったのは、実のお兄さんだろう。

でもそれこそ高齢で、かつ東京在住のため葬儀には参列できなかった。

 

この時、初めてコロナがうらめしかった。

 

胃がんからの在宅医療~驚きと、悲しみと~

ほんの僅かな時間だったけれど

 

さようなら

さようなら

ありがとう

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葬儀社の人たちが戻っていき、しばらくしてから義実家の父母がやってきた。

 

険しい顔をしてはいってきて、そして無言。

 

父が横たわる姿を目にしても、涙一つこぼさない義父。

手を合わせはしたものの、無表情で、ただ見下ろしている。

その姿からは、なんの悲しみも感情そのものすら伝わってこなかった。

そして一応泣いてはいるが、一切私と目を合わさない義母。

 

昨夜、看取りを断ったのをよほど根に持っているのだろう。

 

それでも斎場の場所や家を出る時間は聞いてきた。

その際も、コロナのことがあるので

家族葬で内内に済ますので、親戚の方々はご無理しないでください、と伝えた。

 

恐らくわかっちゃいないが。

話はもっぱら義母。

義父は耳が悪く、でも補聴器を付けたがらないので話が伝わりにくい。

 

あれこれ聞くだけ聞くと、さっさと帰っていった。

 

ため息しか出てこない。

 

しばらくして、親戚の叔父夫婦がやってきた。

パパちゃんのこともいつも気がけてくれ、優しくしてくれていた人たち。

 

「知らんかった」と涙をぼろぼろこぼしながら

「お父さん、きつかったね」とパパちゃんに声をかけてくれた。

 

「こんなに悪いなんて知らなくて」という叔父夫婦に

癌の転移は本人の希望もあって知らせなかったこと、

また本当に突然の急変だったことを詫びた。

 

「しんどいけどね、お姉さんたちもおるからね」と私達にも励ましの言葉をかけてくれる。もうそれだけで充分、ありがたかった。

 

それからまたしばらくして近所に住む親せきの叔母様姉妹。

「いつもニコニコ挨拶してたのに、見ないなぁって思って・・・」

そんなに親しい訳でもないのに、また足も悪いのにわざわざ別れのご挨拶に来てくださった。

 

「斎場へはね、コロナもあるから遠慮させてもらうね」

と言って頂き、ご香典まで頂戴してしまった。

 

その時、パパちゃんの釣り仲間でもある近所のおじさんのことにふれ

「知らないんじゃなかろうか」と叔母さん同士で話していた。

(一応、遠い遠い親戚筋にあたります)

 

その言葉にハッとし、叔母さん姉妹が帰られた後、オジさんの家に行った。

 

すぐ近くに住むオジさんは、パパちゃんの町内で唯一の友達で釣り仲間。

色々複雑な家庭環境のようで、独り身で兄家族と暮らしている。

アウトロー的な人で、あまり格好などは気にしない。よくパジャマでウロチョロしているのを見かけるが、会うとニコッと挨拶してくれる。

また町内の色々な面倒ごとやお手伝いも、進んでされるいい人だ。

 

だが義父はとても気に入らないらしく、道であっても知らん顔。

自分より立場や職歴が上でないと認めない人だから。

 

そんなオジさんは、回覧板をうちに持ってくる時にパパちゃんと意気投合し

それから釣りに誘ってくれるようになった。

もう一人、町内でも釣り好きな別の人も交えて、よく3人で出かけていた。

 

近くに、海と川が合流する河川があり、そこで手長エビやものすごく大きな魚が釣れる。

時期や潮を見ながら、パパちゃんにも声をかけてくれていた。

 

誰も知らない土地に来て、唯一できた友達。

 

パパちゃんの楽しみだった。

 

町内清掃の時も、オジさん達がパパちゃんに声をかけてくれて、一緒に廻ってくれる。

歩きながら楽しそうに釣りの話をしながら。

 

嬉しかった。

 

でもそんな時でさえ、義父から横やりが入る。

釣りのお誘いでうちへ来ても、しょっちゅう庭に入り浸る義父がわざとさえぎり、話をさせないのだ。

そしてパパちゃんと話をさせず、追い返してしまう。

 

パパちゃんの落胆はひどかった。

 

もう嫌がらせでしかない。

しかも子供じみた、人間性を疑うような。

 

でもオジさん達も義父の性格を知っていて、あえて知らん顔をするようになった。

目の前でパパちゃんに構うと、わざと割って入ってくるのを知っているのだ。

 

でも義父の姿が見えなくなるとすぐにやってきて

手短に約束を取り付けにきてくれた。

 

一度『すみません、気を使って頂いて・・・』と頭を下げると

『いいよいいよ。あの人ほら、難しいからね。お父さん大変なのに頑張ってるよね』と

苦笑しながら言われていた。

 

町内の人も、ちょっとおかしいのは分かっているのだと初めて知った。

 

パパちゃんの体調が次第に悪くなり、釣りにもいけなくなった。

するとオジさんは釣ったエビや魚を料理して、持ってきてくれていた。

 

パジャマ姿で「ほい」とだけ言って(笑)

 

どんな高級そうなメロンや贈答品よりも

パパちゃんは一番嬉しそうだった

 

 

オジさんに手短に事情を伝えた。

相変わらずパジャマだったオジさんは黙って引っ込んでしまった。

 

それからしばらくしてやってきたオジサンは

(もちろんちゃんと着替えていた)

しばらくパパちゃんの顔を見つめた後

「きれいか顔ね」と泣き笑いのような顔で言った。

そしてパパちゃんの両頬を手でそおっとはさんで

「ありがと。またね」と震える小さな声で言ったあと、帰って行かれた。

 

 

よかったね、パパちゃん。

友達が会いに来てくれたよ。

 

オジさんの優しさが、とてつもなく嬉しかった

 

胃がんからの在宅医療~最期のぬくもり~

忘れないよ

 

笑顔も

優しさも

温もりも

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どうにかこうにか打ち合わせも終わってから

パパちゃんの身体を守るため、ドライアイスを設置することになった。

 

お天気の良い春の日だったので、斎場に入る前に自宅でと、早めにお願いをしていた。

 

担当者の方が

「背中の方へ、手を入れてみてください。まだ故人様の温もりが感じられますので」

と言われ、驚いた。

もうだいぶ時間は経っている。

でもそうっと背中の方へ手を入れると、温かさが伝わってきた。

 

パパちゃんの、最後のぬくもりだ

 

次女も、子どもたちも、それぞれに確かめながら

涙が止まらなかった。

 

あの時の感触は、きっとずっと忘れられない

 

それほどパパちゃんを感じられるものだった

 

 

真っ白なお布団を上からかける。

重い布団はきらいだったものね。

 

「一応、持ってきました」と言われた装束セットの中に

経帷子(白装束)と手に付ける手甲、足に着ける脚絆、そして三角頭巾があった。

(う~ら~め~し~や~と幽霊がよくつけてるやつ)

天冠(てんかん)とも言うらしい。

実際これ付ける人いるのだろうか・・・(;・∀・)

 

死装束にも、それぞれ意味がある。

閻魔大王様の前に出る時の正装だとか。

今は《エンディング(エピローグ)ドレス》なるものもある(゚д゚)

 いや、すごいね(;'∀')

 

でも自分でお気に入りの服を着たいというのは分かる。

この先それを着て向こうへ旅していくのだから。

 

いつも釣りに来ていた服を身に着けたパパちゃんは

今にも起き出しそうだ。

温かさを感じていると、「もしかしたら・・・」と勘違いしそうになるくらい

優しい穏やかなパパちゃんが横になっている。

 

長女だけがまだ戻って来ておらず、やきもきした。

かと言って運転中であろう、電話もできず。

 

諦めかけてドライアイスをセットしていたその時、

長女が帰ってきた!

 

セーフ。

 

長女もパパちゃんの温かさを感じながら

「お父さーん・・・」と

『起きてよ』と言わんばかりにつぶやいていた。

 

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胃がんからの在宅医療~葬儀社への依頼~

人生最期のセレモニー

 

相性も大事

納得のいくところで

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葬儀社への依頼

 

パパちゃん逝去後すぐに電話を入れていた。

当たり前なのだろうけれど、24時間受付体制。

大変だなぁ・・・

 

しかしあまりに慌てすぎて

在宅医療の先生が到着する前に連絡しちゃったもんだから

「医師に確認してもらってから、再度ご連絡ください」

と言われてしまった(;・∀・)

 

当たり前だ

落ち着け私💦💦

 

改めて連絡を入れる。

以前見積もり、訪問、相談をしていた葬儀場。
www.hikaru-ko.xyz

決めておいてよかった。

 

これでイチから探すとなると、かなり無理がある。

希望云々や費用も考えている暇もなかっただろう。

 

7時過ぎに男性が二人来られたと記憶している。

ちょうど次女が戻ってきてくれていたので、一緒に打ち合わせをした。

 

以前斎場で女性の担当者に色々と相談に乗ってもらっていたこともあり

一つ一つを確認しながらある程度を決めておいたので、比較的スムーズに進められた。

 

コロナ禍ということで『集まれない』ことが私たちにとっては幸いだった。

正直義理で来られることよりも、身内だけで静かに送りたかった。

 

なので形は【1日葬】にした。

だが実際はお通夜の形で斎場に一泊する。

考えた末、午後に斎場へ移動することにした。

 

祭壇も一通りあるもののそれだけでは少し寂しいかなと、プラス孫一同の供花で飾ることにした。

参加者自体が一堂に会することがなく、また少ない事からホールは借りずに進めることにした。

親族用の控室が30畳近くある広い和室だったので、充分だった。

 

ところが

担当の年配の男性がなぜか納得せず「いや、無理です」と言い張ってきた。

「狭いです。ご遺体を安置したらそんな余裕なスペースないです」

ととにかくホールを借りるよう、譲らない。

それに祭壇や棺等、とにかくオプションのランクアップを勧めてくる。

 

その言い方があまりに強く、段々といらいらしてきた。

次女も怒っているのが分かった。

最期のセレモニーなので不備がないよう良いもので、というのもわかるが

なんというか言い方がとても高圧的に感じた。

 

実際私は何度も下見をしている。

控室も確認して、充分なスペースであることも確認済なのだ。

またその時の女性の担当者さんにもOKを頂いている。

「絶対狭い。後で困りますよ」と言い切るのにちょいブチ切れ気味になった。

 

「結構です。それで進めてください」

年配の担当者は、明らかに不満げだった。

ガン無視して比較的対応の穏やかな若い担当者と話を進めた。

 

斎場の女性担当者の対応がとても良かったので決めていたのだが

少々不安になってきた。

ここ大丈夫かな・・・

 

だが斎場側に対して不満に思ったのはこの時だけで

後は問題なく対応して頂けたのでほっとした。

 

 

結婚式などのお祝い事と違い、プランナーと綿密な打ち合わせができないのが葬儀。

しかも自分のとなると当たり前だが100%無理だ(;'∀')

だからこそ自分が望む形があれば、希望にそえるよう事前準備が必要だとひしひしと感じた。